1023chang’s blog

『FALLOUT COLD CODE』 外伝 アンカレッジ戦争 

『FALLOUT COLD CODE』 外伝 アンカレッジ戦争 第6章:零度施設

第6章:零度施設
氷結した通路の先、空気はさらに重く、息をするたびに肺が凍りつくようだった。

ハリントン・ハリス中尉は、ノーラが消えた穴を通って地下に進んでいた。
その先には、巨大な迫撃砲弾がずらりと並ぶ保管庫。

「……40センチ砲か。こんなものが連邦各地に打ち込まれていたのか」

薄暗い照明がかすかに砲弾の側面を照らし出す。
冷却剤の蒸気が足元に流れ、視界を白く霞ませる。

その瞬間――

パパパッ!

乾いた銃撃音が響いた。
弾丸がハリストンの横をかすめ、後方の弾薬箱を粉砕する。

「ッ……っ! 見えない!?」

即座に床へ伏せ、銃を構えるも、周囲には人影すら見えない。

だが、確かにいる。

白い蒸気の中、わずかに揺らめく輪郭。
気配と熱を極限まで抑えたステルススーツの兵士たち。

(数は……一人じゃない)

彼は身を転がして遮蔽に隠れながら、スコープを覗く。

熱源――わずかに浮かぶ赤。

「12人か……っ!」

敵は包囲を完成させていた。
まるでこの場所が“罠”だったかのように。

ハリストンはガウスライフルの充電を確認し、静かに息を整えた。

「透明だろうが、気配は消せない。……やってやるさ」

目を閉じ、周囲の空気の揺れと音に集中する。
そして次の瞬間――

バシュウウウッ!

ガウスライフルの閃光が、一人のステルス兵の胴体を撃ち抜いた。
見えなかったはずの敵が、悲鳴を上げながら透明化を解除して倒れる。

それを皮切りに、死の静寂が一気に破られた。

 

周囲を取り巻く冷気と蒸気、見えざる殺気。
ハリントン・ハリス中尉は、迫撃砲弾の影に身を隠しながら、苦笑した。

「まったく、女といるとどうもペースが狂う……」

呟きながらも、目は冷静だった。
ノーラ・ヘイスティングスのあの戦闘能力に敬意を持ちながらも、彼女の"冷たさ"がハリストンにとっては違和感の塊だった。

「――結局、俺にはこっちのほうが性に合ってる」
「一人でやった方が、楽だな」

小さく、皮肉を込めて嘲笑う。

その笑みと同時に、ハリストンは再び動いた。

閃光のように飛び出し、ステルス兵の死角からガウスライフルを叩き込む。

バシュウッ!
パスン、パスンッ……!

周囲にいるステルス兵たちの気配を、息づかい、床にわずかに響く足音、弾の風圧、音と揺れと殺気からすべて読み取っていた。

一人、また一人。
そのたびに敵のステルス機能は強制解除され、蒸気の中に鮮血が舞う。

「透明になっても、死ねば見えるだろうが」

3人、5人、7人――。
ハリストンはまるで“踊るように”パイプや遮蔽を使い、敵の包囲を逆に撹乱していく。

ステルス兵たちは、ただの姿を隠す兵士に過ぎなかった。
ハリストンのように“生き残るための戦い”に慣れきった者の前では、姿を隠すことすら無意味だった。

最後の一人が、背後から短剣を振り上げた瞬間――

ガキィィン!

振り返りざまにハリストンのナイフがそれを受け止め、すぐさま首元に突き刺さる。

「――終わりだ」

敵は沈黙し、再び静寂が訪れた。

ハリストンはガウスライフルのチャージ音を止め、周囲を見渡す。

「12人。全滅、確認」

一人きりで、誰の助けもなく、それでも彼は生き残った。

ノーラの姿はどこにもなかった。

だがハリストンは、背中で感じていた。

「見てるんだろ、あの女……」

苦笑とともに、再び次の通路へと進み出す。