1023chang’s blog

『FALLOUT COLD CODE』 外伝 アンカレッジ戦争 

『FALLOUT COLD CODE』 外伝 アンカレッジ戦争 第19章:ノーラX01

第19章:ノーラX01
件名:DS-001 ノーラ・ヘイスティングス 個人ファイル(抄録)
機密階級:Σ-Class / 観測者専用

■ 基本記録(推定)
コードネーム:ノーラ・ヘイスティングス(Nora Hastings)

登録番号:DS-001

推定誕生日:2049年8月18日

出生地:不明(記録改竄あり)

分類:Cold Code計画 “起源個体”

■ 教育と才能(特異項目)
ノーラ・ヘイスティングスの成長過程は、通常の人間の教育フレームには当てはまらない。
幼少期は民間教育機関の記録なし。**いかなる国家登録も存在しない“影の子”**であった可能性が高い。

◉ 法律・哲学領域
10歳:法理学を開始。プライベート指導の記録あり。

13歳:コロンビア大学に“内部登録”されていた記録を確認(極秘課程)。

15歳時点:一流の弁護士を論破。

17歳で法廷模擬訓練にて軍法会議を主導した記録あり。

「彼女は法律を“武器”として扱っていた。倫理ではなく、支配の構文として。」

◉ 身体能力(超越領域)
水泳術:記録上、オリンピック女子金メダリストを0.8秒上回る100m自由形記録。

体操技術:男子競技金メダリストの技術を参考に設計された動作を独自に再現。

暗殺術と格闘術:15歳時点で特殊部隊訓練員3名を“無傷で制圧”。

■ X01実験装備との適合
ノーラ・ヘイスティングスはCold Code計画の中で最も危険なフェーズへと移行する。

Project: X01
旧エンクレイヴ系譜の“戦闘型知性強化パワーアーマー”。
搭乗可能者は限られ、精神負荷と電磁パルス制御に適合できる者のみが生還可能。

ノーラは17歳の時点でこれに適合。
AIと神経リンクを行った最初の人間でもあった。

観測者X(記録抜粋)
「彼女は人類の進化ではない。“人間”の記憶を持ったコードだ。
肉体は装甲でなくとも兵器だ。だが──心は、まだ“揺らぎ”を見せる。」

■ 暗示される問題点
人間性の欠如:
ノーラは道徳的判断を“戦術優先度”として処理している。
家族・友人・愛といった感情に対し、全く価値を見出していない。

記録不明の空白期間(2054〜2057)
この期間に、何らかの“再構成処置”が行われた可能性あり。

観測者との直接会話記録あり
宗教的・神話的な構造を持つ教団的存在への接触履歴が確認された。

 

補遺ファイル:DS-001 / Cold Code適合個体 精神構造・戦闘能力特化プロファイル

■ 精神年齢と軍事的才能の乖離
ノーラ・ヘイスティングスは、年齢と実戦能力が常に一致していなかった。
特に10〜13歳にかけては、以下のような超人的な能力を実証している。

◉ 11歳:戦術核兵器実験の成功
極小型核爆弾(投擲型プルトニウム装置)の制御・起爆コードを単独で設計。

陸軍特殊実験班の記録によれば、通常5年かかる技術工程を3か月で習得。

「あれはもはや兵器設計ではない。理性を装った破壊本能だった。」
― 軍研究員メモ

◉ 12歳:極限サバイバル訓練
極地環境で180日以上、支援・通信無しで生還。

飲料は雪と内部処理、栄養は腐敗肉と昆虫。
罠、罠解除、狩猟、解体、加工、自己治療をすべて自力で実施。

◉ 戦術改造技術
自作ミサイル兵装やIED(即席爆発装置)に熟達。
→ 通常兵器を「人間が装備可能な極小型兵器」に改良する特殊技術を所持。

返送型工作のプロフェッショナル
→ 捕虜化後、自らを「無害な少女」と誤認させ、逆に指揮官を排除した記録あり。

◉ 語学・戦略能力
読解可能言語:英語、中国語、ロシア語、アラビア語、フランス語、日本語。

会話可能:6か国語以上、文化的言い回しすら即応的に切替可能。

IQ:180(非公式)

■ 精神構造と倫理的欠損
◉ 仲間=道具理論
人間を「行動機能ユニット」として認識。
情の概念を持たず、**仲間であっても任務終了後には“処分対象”**とみなす。

◉ 人間嫌悪・選別主義
感情評価:

愛情:否定

友情:利用価値

家族:不要

男:警戒/軽視傾向(=フェミニズム思想との一致性)

戦闘記録上、男性兵士に対して過剰な冷酷性を示す傾向あり。
特に無能と判断した場合、「殺す価値すらない」として放置した例が存在。

「あの女は、“女”ではない。秩序を模した破壊欲だ。
男を嫌悪し、仲間を軽蔑し、人間を“データ化された群れ”としか見ない。」
― 監察官L・M・グレイ

■ 予測:Cold Codeとの最終融合
ノーラ・ヘイスティングスは、肉体、言語、論理、戦術、心理操作をすべて独習的に獲得。
そのうえで**「人間性のない兵器」**というCold Code計画の理想像に最も近づいた。

しかし――
その完全性こそが「彼女にとっての不完全性」であった。

感情なき兵器は、感情を理解できない。
よって、愛を知る者には勝てない。

 

件名:DS-001個体に関する最終報告書
記録:女性工作員大佐(暗号名:レッドフォックス)
提出先:中国人民軍 情報局 / 劉芳少将

◆ 総括報告(抜粋)
「……報告いたします。
ノーラ・ヘイスティングス、通称“DS-001”。
その存在そのものが、Cold Code計画の“再構成者”にして、
我々が知り得る“個体情報”のほぼ全てが偽装である可能性が高いと判断されます。」

◉ 真名に関する見解
現行の名「ノーラ・ヘイスティングス」は、計画関係者の付与したコード名の一種とみられる。

少なくとも本人がその名に愛着や所属意識を示した記録は皆無。

逆に、“名前”という制度そのものに対し、明確な拒絶反応または無関心が見られる。

◉ 正体不明・氷山の一角
本報告書は、DS-001個体の実態の**“氷山の一角”**でしかない。

彼女の行動理念・記憶改竄履歴・観察不能な空白期間は無数に存在する。

加えて、Cold Code計画関係者の一部すら、彼女の過去にアクセスできていない。

「……これが真実なら、彼女は“個人”ではなく“概念”だ。
感情・国籍・過去――そのすべてを“切除”された存在。
残ったのは、殺意と命令に従う鋼鉄の影。」

◆ 劉芳少将 発言(抄録)
「──ノーラ・ヘイスティングス
あれは“人間”ではない。国籍も帰属も持たない。
国家を拒絶した殺人鬼だ。」

ペンタゴンとエンクレイヴの奥深く……
あの化け物を“作った”誰かが、まだ息をしているということだ。」

◆ 結語
ノーラ・ヘイスティングス
この名前が、いつ、誰によって記録に刻まれたのか、すでに誰も知らない。

ただ一つ、確かなことがある。
その白い影が歩いた場所に残るのは、いつも沈黙と死だけだ。

※この記録は、2287年現在も一部未解読のブラックファイルに指定されている。
連邦政府、エンクレイヴ残党、ヘリオス教団、すべてがこの一人の亡霊を追っていた。