『FALLOUT COLD CODE』 外伝 アンカレッジ戦争 第25章「がれき」
第10章「がれき」
第108連隊は激戦の末、炎と瓦礫に覆われた廃墟の中へと踏み込んだ。
辺りには破壊された兵器と散乱する残骸が静かに横たわっている。
「注意深く進め。敵の罠がまだ残っているかもしれん。」
ハリストン少佐の低い声が隊員たちに緊張を走らせる。
隊は瓦礫の底に目を凝らした。
そこには破損し散乱した中国軍の武器が無数に転がっていた。
予備マガジンやミサイルの残骸も発見され、戦力補填のため迅速に回収作業が始まる。
「マガジン回収完了、ミサイルも確保した。」
ネイト軍曹が報告を送る。
次の目的地は巨大な金属パイプ。
荒廃した施設の奥へと続く細い通路だ。
「よし、ここを渡って装甲の内部へ潜入する。全員、足元に気をつけろ。」
鉄でできたパイプは氷で滑りやすく、冷気が骨身に染みた。
隊員たちは一歩一歩慎重に渡り切り、無音の中、敵陣の奥深くへと忍び込んでいった。
薄暗い装甲の内部は機械の冷たい匂いが充満し、静寂に包まれていた。
しかし、ここが次なる戦いの舞台であることは疑いようもなかった。
薄暗い装甲内部に足を踏み入れると、静寂が支配していた。
しかしすぐに、隊員たちは点在する複数の中国兵の戦死体を目にした。
瓦礫に押し潰され、銃火の傷痕が残る彼らの姿は、痛ましくも戦場の非情を物語っていた。
ハリストン少佐はその死体を一つ一つ見渡しながら、やがて遠い記憶と感情が胸の奥から湧き上がるのを感じた。
「……奴らもまた、命を賭けて戦っていたのだ。俺たちと同じようにな。」
血塗られた廃墟の中、戦いの意味、犠牲の重さが改めて彼の心に重くのしかかった。
だが、任務は容赦なく彼らを前へと促す。
ハリストンは拳を握り締め、決意を新たにした。
「これ以上の犠牲を出さぬためにも、俺たちは進み続けなければならない。」
足音が響く装甲の通路を、冷徹な戦士たちは静かに、しかし確実に進んでいった。
装甲の薄暗い通路の奥、沈黙の中に突然声が響いた。
「撃つな! 手を上げたぞ!」
ハリストン少佐が即座に制止の声をあげた。
前方に一人、生き残った中国兵士が膝をつき、震える手をゆっくりと天に掲げていた。
「裸の女に……やられた……あの……化け物に……」
兵士の声は震え、恐怖が滲んでいた。
ネイト軍曹が前に進み、低い声で問いかける。
「誰にやられた? 詳しく話せ。」
だがその時、背後から鋭い銃声が鳴り響いた。
最後の兵士は呻き声をあげ、ゆっくりとその場に倒れ込む。
「――奴か……」
ハリストンは振り返った。そこには、かつて戦場で目撃した――
裸の女の影が、冷たく光る目で彼らを見据えていた。
彼女の姿は闇に溶け込みながらも、戦慄の存在感を放っていた。
「まさか、あの“奴”がここに……」
ハリストンの胸に走る凍りつくような感覚。
彼はその冷たい瞳を、絶対に忘れることはなかった。