『FALLOUT COLD CODE』 外伝 アンカレッジ戦争 第37章「終戦」
第37章「終戦」
AD2077年1月20日
――アラスカ戦線終結。
この日、中国政府は正式にアラスカ戦争の敗北を認めた。
血と鉄で塗られた氷原の闘争は、ついに幕を閉じた。
この瞬間がのちに語られることになる。
**「アンカレッジ解放記念日」**として。
戦いの英雄たちは散った。
名を残した者も、忘れ去られた者も。
そして、伝説と化した影――「ホワイトヘルス」は、何処かへと消えていった。
ネイト・カークランド軍曹
第108部隊所属。T-51装着兵。
最終戦後、名誉除隊の処分が下された。
「君の戦いは終わった、軍曹。今後は、必要とされれば――呼ばせてもらう。」
その言葉と共に、彼は予備役としての登録となり、軍から離れた。
戦争の名残が体と心に深く刻まれていたが、
彼の中には、ひとつの選択があった。
“生きることを選ぶ”ということ。
サンクチュアリ・ヒルズ――
マサチューセッツ州、連邦ボストン郊外。
その地にネイトは、政府支給によって新しい住居を与えられた。
住宅地「サンクチュアリ・ヒルズ」
再建計画の一環として軍人や国家功労者に提供された新興区画。
静かな郊外。
白いフェンス。
小さな庭とガレージ。
そして、誰も彼を知らない世界。
ネイトは、少しだけ息をついた。
「……ここが、俺の“帰る場所”……なのか。」
TVのニュースでは、アラスカ戦争の記念式典の映像が流れていた。
爆破された通信施設の跡。
焼け焦げた戦車。
15人の兵士が並んだ記念写真――
その中央に立つのは、かつてのネイト・カークランド軍曹だった。
だが、
ノーラの姿だけは、どこにも映っていなかった。
誰もそれを語らなかった。
誰も彼女を記録していなかった。
あれほど戦場を支配した影は、“存在しなかった”ことになっていた。
そして、ネイトの新しい生活が始まる。
朝のコーヒー。
隣人の挨拶。
犬の鳴き声。
洗濯物の音。
平和。
だが、そこには常に――
**かつての“戦争の影”**が、どこかにあった。
ノーラの記憶。
ホワイトヘルスの真実。
そして、いまだ知らぬ“Cold Code”の胎動。
「これで終わった……わけじゃないんだろうな。
でも、少なくとも今は――静かに息をしていられる。」
戦争は終わった。
けれど、
記録されなかった“彼女の戦争”は――まだ、終わっていない。