『FALLOUT COLD CODE』 外伝:アンカレッジ戦争 ――あとがき
あとがき
これは、ひとつの記録を巡る物語だった。
ノーラ・ヘイスティングスという存在は、軍の記録から抹消された。
英雄ではない。正義でもない。
ただ、冷たい戦場の中で、静かに“結果”だけを残した兵士だった。
彼女の名は記録に残らなかった。
だが、彼女が奪った命の数、遺した影、その存在感は、誰よりも鮮烈だった。
「ホワイトヘルス」
「白き死神」
「神話」
「都市伝説」
どんな名前で呼ばれようと、彼女は何も語らず、笑いながら背を向けた。
「あたしは殺人鬼よ。
人間の都合のいい記憶なんて、残す必要など無いから。」
そして物語の主人公――ネイト・カークランド。
軍曹から大佐へ。
偽装された過去を背負い、
知らぬうちに記録を書き換えられ、
英雄に仕立てられた男。
だが彼は、何も望んではいなかった。
ただ、真実を知りたかった。
ただ、彼女を理解したかった。
この物語は、二人のすれ違いと、
すれ違ったまま再び出会い、“殺し合い”で終わる皮肉の連鎖である。
そしてこの外伝は、本編の“始まりのずっと前”、
冷戦と人間の倫理、そして「正しさとは何か」を問う戦争の記録でもあった。
ノーラの裸身は、何も隠さない。
それは羞恥のなさではなく、
**「偽らない存在」**としての、最後の意思表示だったのかもしれない。
戦争は、いつも真実を塗りつぶす。
正義は、常に都合によって書き換えられる。
そして、記録は誰かの手によって編集される。
それでもこの物語が、
わずかでも「記憶」に残るなら、
彼女もまた、ほんの一瞬だけ“生きていた”ことになるのだろう。
『FALLOUT COLD CODE』外伝:アンカレッジ戦争
完。
